今日、いろいろホームページを巡っていると、「建築士はつらいよ」という広告が載っていました。いわゆる求人広告ですね。
さて、建築士は、果たしてつらいのでしょうか?
ここでひとつ考えてみましょう。例えば野球のイチロー選手。彼は毎朝おなじカレーを食べていたそうです。毎日毎日、寸分違わぬ同じルーチンを繰り返すことで、体に生じるほんの少しの違いを感じ取り、それを修正することで調子の低下や体調の悪化を防いでいたそうです。
また、同じ野球の小久保選手。彼は遠征中のホテルで寝違えた事をきっかけに、北は札幌から南は広島まで、(九州はホーム)すべての遠征先のホテルと契約し、自宅と全く同じメーカー、同じ品番のベッドを置いてもらっていたそうです。
さて、イチロー選手。彼は毎日同じメニューを食べることを辛いと思っていたでしょうか。
小久保選手はどうでしょう。高級ベッドを11個発注して契約、相当の出費です。嫌じゃなかったんでしょうか。
違いますよね。彼らは野球が大好きだから、最高のプレーをお客さんに見せたいから、「辛い」という感情よりもそれを選択したのです。
建築士も似たところがあります。
勿論、過労死に至るような労働はダメですよ。でも、いつも意識の何処かで建物のことを考えている。通りがかる町並みや、ふと訪れた街角さえも、次の自分の仕事の糧にする。満足のいく建物を作るために、それをお客様に喜んでもらうために、できることを惜しまない。それが建築士、だと思っています。
建設業の働き方改革も、この10年でずいぶん進み、労働環境はかなり改善しました。僕の若い頃の辛かった経験は、できれば今の若い人にはして欲しくありません。
ただ一方で、夜を徹して仕事に取り組み、結果として満足いくまで仕上げる。その達成感を今の若い人は恐らく味合わない。それはちょっと可哀想かな、とも思うのです。
今も昔も変わらないことは、建設という仕事は、それが大好きであれば、真正面から取り組みがいのある仕事であるということです。これからもその楽しさを、感じる人が増えてくれればいいですね。