僕たち、現場監督が他の職場と違うところは、入った途端に「人を使う」立場に置かされることだと思います。まあ今では入ってから「研修期間」が長くなりましたので、入って翌日から、って会社は少ないでしょうけど、それでもかなり早い時期から作業員に「指揮命令」をする立場に立たされます。
とはいっても、現場の知識は全くなく、職場の先輩や、本当は指揮する相手である職人さんから順に聞きながら、仕事を覚えるしかないのです。何故そうなっているのかというと、「実際に見て覚える」のが結局一番早いからなんです。いくら建築関係の本を読んでも、その「物」は理解できても、実際の仕事の流れはほとんどわかりません。その「流れ」を覚えることで、安全も、品質も、コストも理解できるようになる。ON the JOB TRAININGが最も大切な業界、それが建設業界です。
実際、それに悩んでいる現場監督の卵の人も多いのではないでしょうか。「何から覚えたらいいかわからない」「何を指示したらいいかわからない」そりゃそうですよね。
でも、慌てることはありません。何もわからない。それは、じっくり物事を見ることができる、の裏返しです。現場監督の仕事は非常に忙しく、スキルが上がると次々に仕事をこなす必要が出てきます。
しかし新入時はその分「じっくり現場を見る」事ができるのです。これが本当に大事。
じゃあ、何を見ればいいのか。いろいろと目移りすると思います。建物のパーツやクレーンなどの重機、レベルやトランシットなどの道具、どうしても「物」に目が行くと思います。確かにそれも大切なのですが、やはり見るべきは「人」なんです。彼ら作業員達が、現場の中でどのように動いているか?一人で黙々とする作業、2人組以上で主に行う作業。チームでも動いている人とそうでない人とのギャップの大きい作業。乾いたりすることを待つことが多い作業。本当に様々です。それらを「人」を主軸にしっかり見ること。そして、1時間にどれだけできるか、1日だとどうか。かかる時間を見て、メモを取りながら理解すること。大切なのはそこなのです。
それらがしっかり理解できて初めて、図面も、工程表も、安全計画も立てることができる。現場監督が「人の動き」をよく理解していることが、良い現場・良い建物の大切な要件なのですね。
入ったばかりで戸惑っている現場監督のあなた。一度「人」に大きく注目して、現場をじっくり見てみませんか?今までと違う物が見えてくるかもしれませんよ。