建築士の勉強をする上で、苦手な人がぶつかる大きな壁が「構造」の問題です。これが本当に嫌いな人が多いですね。元々数学が苦手で、、、って言う人が多いのです。「いやなんで数学苦手で建築し目指したの?」と思うのですが、デザイン系で志した人も多くて、それも理解できるところです。
しかし、苦手な人が多い、って事はそれだけ「アドバンテージが取れる」って事です。また構造は「取りこぼしが少ない」教科です。予想外の問題の確立が少なく、勉強しただけ、点が取れるという利点があります。
ではどのように勉強していけばいいのでしょうか。僕なりの考えをまとめてみます。
1,しっかり時間をかけ問題をたくさん解く
構造は理論の学問だから、原理を理解しないとって思う人が多いですが、理論の学問だからこそ、問題をたくさん解くべきなんですね。特に構造力学はまず一番最初に理解しておくべき所です。一番「一夜漬け」が難しい教科が、構造です。
原則となる構造理論を理解することが大切なのですが、教科書でそれを先にしようとした場合、一番の問題が「面白くない」んです。
やっぱり頭に入るのは今一番相対している現場のことに向き合って考える事が一番で、それには「具体的な」実例をイメージしながら、問題を解いていくこと。これで頭に入りやすくなるのです。
特に、構造力学の問題なら、実際の単管(直線部材)やクランプ(支持点)や積載する材料(等分布荷重・集中荷重)を連想してみること。この習慣を身につけていくことで「実務に役立つんだ!」とモチベーションを維持することが出来るのです。
こんなのやっても仕方ない。これを考え出すと、絶対に頭に入りません。実際構造の勉強は仕事をする上で本当に大切な部分です。(実際に起こっている事故も、構造の無理解に起因する場合も多い)実務にリンクして覚えていくことが、構造が得意になる早道です。
2,暗記だけでなく平行して理屈を理解する
次に大切なのは「何故」です。RCなら鉄筋の継手位置や定着、コンクリートの配合やその性能、鉄骨であれば溶接の仕方やアンカーボルトの長さなど、構造には覚えることが山ほどあります。それを単なる「暗記」だけで済まそうとすると、膨大な量の暗記を強いられることになります。
1,で構造力学を繰り返し理解したら、何故そのようになっているかを参考書や問題集の解説で理解していく。闇雲に問題を覚えるよりも、「何故そうなるか」をしっかり理解する。継手位置ならモーメントのかかる位置ですし、コンクリートならセメント量、水量等の数値がどのように相関して性能を発揮するかなど、関連項目をセットで覚えていく。そうすることで一連の問題は絶対に間違わないという自信ができ、「こんな問題初めてだ!」という事態に至っても、答えを「推理」することができるようになります。そうなればもう大丈夫。そうれうと一問に時間を費やしますが、その努力は決して無駄にはなりません。
3,言葉(設問)をスケッチして覚える
たとえば、このような問題。
鉄骨構造のH形鋼の柱において,フランジの局部座屈を防ぐため,フランジ厚を薄くし,フランジ幅を広げた.
こういうのを面倒くさがらず、ちょっとアイソメを書いてみる。こうすることで、どのように座屈がおこるかを描いてイメージしてみると、ああ、薄くなると座屈しやすいよなあ(当然圧縮部材)ってことが解ります。
「そんなん頭の中で解るよ!」はい、確かにそうですが、こういうわかりやすい問題も時間の限り、ちょっとスケッチする癖をつける。そうすることで理解が立体的になり、覚えやすくなるのです。この積み重ねは試験が終わっても現場で役に立ちます。職長さんや部下に指示をする上で、立体的に理解してスケッチする能力は大変役に立つのですが、「伝わる」スケッチを描くには積み重ねが必要。試験は試験と割り切らず、常に仕事に絡めて覚えることで、深く、立体的に理解することにつながるのです。
最期に:役立てなきゃ損だよね
実は僕も、それなりの大学を出てきたものの、構造系の単位は「可」ばかりでまともに理解出来ていたとは言えませんでした。
ところが、一級建築士の、中でもこの構造の勉強をしっかりすることで、改めて実地に役立つ構造力学を会得できた気がします。折角長い時間をかけて行う勉強、実地に行かさなければ本当に損ですよね。
であれば、勉強の時から自分の為、将来のためと思ってアプローチする法がモチベーションも上がります。
部下達が資格にチャレンジするのを見ていると、やっぱり「点を取るためのテクニック」に傾倒して何でも闇雲覚えようとしているのを感じます。原理原則や実地でどう使われるかをしっかり並行して理解し、自分の大切な将来の肥やしとして欲しいですね。