現場監督にとって一番大切なことは何ですか?あなたが問いかけられたら、どのように答えるでしょうか。
月並みかもしれませんが、僕は「安全に対する意識」だと答えます。
「安全が大切」これはすべての現場監督が答えると思います。では何故、建設業の災害は、未だに全産業中トップなのでしょうか。
答えは我々が、「場面において優先順位を変える必要がある」業界だからです。
現場監督は場面場面でいろんな「選択」を迫られます。一品生産である建設業は、いくら綿密な打合せをしていても予想外の状況が発生し、その都度対策を講じなければいけません。工期の厳しい現場、予算の厳しい現場もあり、常にそれらとの整合しながら答えを出し続ける必要があります。
しかし、そんな中で、「常に安全に意識を置いておく」ことが大切なのです。お金がない、工期がない、という事に苛まれると、ふと安全のことに対する意識が薄れる。優先順位が低くなってしまう。ということが起こります。
「ちゃんと昇降路を設けてからでないと作業してはいけない」
「手すりが完備するまで作業をさせない」心では解っていても、
職長さんから「そんなことしてたら間に合わないよ!」の一言を言われて妥協してしまい、なあなあで作業させていませんか?そしてその「成功体験」を元に現場の工程を描いていませんか?その果てに、いつか待っているのは大きな事故。これがいつまでも現場から事故がなくならない、最大の原因です。
では、どうすればいいのでしょう。
「自分の持つノウハウを、時間的、金銭的ゆとりを持つ方向に注ぐ」
これしかありません。
協力会社への要請は「この期間で間に合わせて欲しい」ではなく具体的に「この期間は何人来て欲しい」と話す。効果的な機械を使う、などで、工程が1,2日早く終わるように計画しておく。そしてその期間を次の安全の為に使う
どんなに予算が厳しくとも、安全対策の費用を確保し、いざというときに使えるようにしておく。赤字やそれに伴う会社からの非難を恐れず、必要なときはしっかりお金を使う。
どんなに早く工期を終えられても、どんなに利益が上がっても、どんなにできばえの良い建物に仕上げても、けが人や、ましてや死亡者が出てしまっては元も子もない。そのことを常に意識し、安全対策を先手で行う。
そして、その「意識」を全員に共有させることです。
安全はそれのみを捉えて達成できる物ではありません。ましてや書類だけをちゃんと行えば出来る物でもありません。他の要素をしっかり計画して初めて成り立つ。それが安全だと思います。