現場あれこれ

2,PC・プレハブ化による工期短縮

前回の記事から少し空いてしまいました。建設業の環境を改善し、より魅力ある仕事にするには、他の仕事と同じぐらい休みを取れるようにすることが不可欠です。そのために私が現場で実践している手法、それがこのPC,プレハブの利用です。

現場打ちコンクリート部材のPC化

現場打ちコンクリートは、建設現場の重要な仕事ですが、工程を組む上でのネックが「型枠という手間のかかる仕事を正確に行い」かつ「打設から存置期間が最短1ヶ月かかる」事です。そこで、その部材をPC化することで、その時間や、かかる仮設を省略することが出来るのです。

例1・吹き抜け上部のRC梁。本来であれば作業のための足場、支保工が必要だが、小梁をPCaとすることで、それにかかる支保工と解体までの時間が短縮できる

例2・バルコニーが在来RCの場合、その外側の型枠組等に広い足場が必要+通常より長い養生期間が必要だが、バルコニー部分をPCaとすることで足場はシンプルになり、外部への飛来落下を抑えつつ、支保工存置期間を短縮できる

例3・鉄骨造などで外部にコンクリートが露出(塗装含)する仕上げの場合、その部分にのみ型枠支保工が必要な場合が発生する。その部分をPCとすることで、全て鉄骨デッキ上からの作業とするとともに、支保工を排除して工期を短縮できる。

例4・地下湧水ピットのあるスラブ。床スラブを断熱としても、小梁だけが型枠になり、ピット内に型枠支保工が必要となる。小梁をハーフPCaとして、ポストだけにすればピットからの搬出も早く、強度発現前に配管作業が可能となる。

このようにいくらでも例を挙げられます。しかしあまり採用されません。何故でしょう?

答えは、お金がかかるから。場所がある現場でサイトPCaなら1.5倍。社外でPC工場で製作すれば3倍近くの費用がかかります。そのイニシャルコストを恐れ、多くの所長が躊躇する場合が多いです。でも、「工期短縮」にはあらゆるメリットがあります。仮設費の低減+経費の低減、そして、表題の、休みの増加です。PCによって上げた精度は、補修ややり直しのリスクも低減する。それは雑仕事の現象をもたらし、現場の仕事終わりを早くさせる効果もあるのです。

これらを読み切っていないと、PCの採用は出来ません。私はこれまで多くの現場でPCを使ってきましたが、そのどれもで大きな効果(品質・安全・工期・ワークライフバランス)を発揮できました。図面をもらったら、何処がPCに出来るかをまず考えるぐらいです。要は準備と決断力。是非多くの現場監督さんにチャレンジをして欲しいと思いますね。

プレファブによる合理化

これは、いろんな方法論がありますね。挙げ出すときりが無いのですが、僕がよく採用するメニューを挙げていきますね。

①部材のプレカット ②鉄筋の先組 ③断熱型枠・鋼製型枠の採用 ④ファブデッキ・フェローデッキの採用 ⑤既成間仕切・家具の採用 ⑥配管の先行設置 ⑦現場タイル→プレファブ窯業パネル仕上げの採用

採用頻度の高いのはこれぐらいでしょうか。特に②・③・④については良く検討しますね。①は極力使う感じですかね。

②の鉄筋先組はクレーンをつけておける現場なら必ず検討します。梁筋などには大きな工期短縮効果を発揮します。③は全部を採用する事にはこだわらず、窓のない平壁などはよく使います。カタダンは細かい納まりに弱いからです。④は設計変更が必要ですが、着実に工期を縮めてくれます。

⑤はお客様への了解が必要ですが、意外とパーティションや家具で間仕切を代用できる時は多く、またその使い勝手に喜ばれるときもあります。将来の長いスパンで考え、お客様目線を忘れなければいろんな所に使えます。往々にしてコストはアップしますので、そこが交渉のしどころです。

⑥の設備はいろんな手法がありますね。設備単独では様々な手法があり、建築とのコラボはピット内への先行配管や、デッキ下に設備配管を吊って荷揚げしたり、縦貫通配管を躯体鉄骨・PC躯体とともに合わせて吊ったりします。⑦は実はなかなか。。。広い面積ではなかなか思い切れない部分ですね。

プレファブ。これについては、我々はもうハウスメーカーさんに我々は2歩も3歩も遅れています。いつも有名はハウスメーカーさんの現場があったら、その手法を見て学ぶことが多いです。

プレファブは多くの場合コストアップを伴います。躯体PCもそうですが、その費用対効果をシビアに査定して、その変更がQCDSEの何処にどれだけ効果があるかをデータで見極める。このことが採用の最も大きなポイントかと思います。

しっかり計画して、気持ちよく現場を行い、早く帰れるようにする。これだけの施策を施しながら、残念ながらまだまだ残業はこの業界多いです。

しかしそれでも努力を続け、最適な工法を選ぶ。これなくして建設業の進化は訪れないと思います。多くの現場で採用を検討して欲しいですね。