若手社員と仕事をしていて、いちばん「できてないなあ」と思うことは、「いつするかを決めない」事だと思います。
こちらから「いつまでね?」と指示しても、直前に確認すると「あ、いや、できると思ってやってましたけど、間に合いそうにないです」と言う答えが。。。
それは、自分でやるべき事に「いつまでにしよう」と期限を明確に切っていないからそうなるのです。例えば、このような状況があるとしましょう。
あなたは上司から「明日までにこの図面を完成させる」という課題を与えられています。そんな時、現場で職長さんからお昼に、「おい、ここ墨出ししてくれると言ってたのにできてないじゃないか!明日からうちがここで仕事なんだから出しといてくれよ!」と強い言葉が。今日は墨出しのできる作業員(大工、測量工)は来ていません。この墨出しを始めるとどう考えても2人で3時間はかかります。
あなたは、どう職長さんに答えますか?
ここで、「同僚(作業員)とともに、自分で墨出しを始める」を答えた人、いませんか?
こういうとき、自分で走りだしたらいけないのです。この時点で今の状況を上司に伝え、
「明日の図面に間に合わないので、墨だし誰かお願いできないですか?」もしくは
「今から墨出す方が重要ですので、図面提出期限一日待ってもらえませんか?」
この「依頼」をすることが大切です。我々は組織で動いており、上司は、そしてその上の上司は「さらに先を読んで」現場を見ています。あなたよりも遙かにいろんな選択肢を持っています。大切なのは、問題点を発見したときに、
1,まずは、自分の与えられた材料で考えて優先順位を判断し、実施日程案を立てる。
2,次にそこから動く前に、上司と相談、どれが優先かを確定し予定日を決める。
このプロセスを必ず踏むことなのです。これを繰り返すことで、だんだん上司に相談しなくとも、どちらが重要かを判断できるようになり、ほとんどの場合で「おお、それでいいよそうしてくれ」という返事が多くなってくるのです。
「日程を決める」というのはこのように、まず仮説で予定を立案し、それを上司とともに確定させる行為です。この試みを続けていくことで、貴方は全ての問題点に対し、最短距離で最適解を得ることができるようになり、どんどん仕事が「早く片付く」ようになるのです。
もちろん、そのときに大事なのは「なぜそうするべきなのか」をしっかり把握しておくことです。自分が仮説を立て、それが上司にひっくり返されるときは、真摯にその「理由」に耳を傾けましょう。そこをしっかり把握することが大きな成長のチャンスです。
上記の質問を例にとれば、上司は挙げた2つの選択肢よりも別に「新しい職人さんを昼から呼ぶ」「ほかの監督にひきつぐ」「図面の書き手をほかに手伝わせる」「その職人の乗り込み自体を一日遅らせる」などの選択肢を出せるかもしれません。つまり経験があり、現場の情報に精通していればいるほど、たくさんのチョイスができるということです。「理由を聞く」のはその外れた選択肢を詳しく聞き、成長できる大きなチャンスだからです。
我々が工程表を書くのは、単なる「日程の伝達」ではありません。平行している作業を並行して立体的に把握し、総合調整不足による工程の大きな遅れを防止するためにあります。「工程を一つ一つ決めた」集大成が「工程表」なのです。
まず、いつするかを決める。これは現場の工程だけではなく、全ての仕事に当てはまります。若手現場監督は、ここをしっかり抑えておけば将来大きな仕事につながることを忘れないでいてほしいです。