最初に、みなさんありがとうございます。
なんと、2万ものアクセスを頂きました。単に単調にならないように整えたら、沢山の人の目にとまり、280件もいいねをいただいています。有り難いなあと心から思います。
1,経験商売なのに経験ができない現場監督
記事では、僕らの時代は掃除から墨だし、足場から左官押さえまであらゆる仕事をさせられた(せざるを得なかった)のですが、今は部下に「やっておけ」と命ずることは勿論、やっているのを見たら全力で止めるような風潮となっています。
勿論、現場監督は現場監督の仕事が一番大事なので、他ごと等やっている暇はとても無いのですが、現場監督が職長や作業員の「立場に立って」計画をおこなう為には、その仕事を実際にやった「経験」があることが一番の武器なのです。
実際に自分でやっているからこそ、どこに一番手間が掛かるのか、どうすれば失敗しやすいのかがわかり、そしてどういう「準備」を行っていれば現場が上手くいくのかが見えやすくなります。しかし、今一定以上の規模のゼネコンの場合、若手でそれを経験している人はほとんどいません。
僕らの若い時代は、中規模以上の現場に「職員」が今より多くいました。機電系、設備系、事務系は今のような県またぎの兼務などあり得なかったですし、現場に一人は「作業員の追い回し」をする人までいました。勢い、現場監督も「一作業員」となって職人さんと一緒に汗を流す瞬間があったのです。しかし、時代が進んで効率化・分業化の流れの中で、それら現場にいる「職員」は減り、協力会社の「自主管理」に替わっていきました。すると現場監督は当然「マネジメント」に特化しなさい。自分で作業せずに作業員にさせなさい。ということになります。
となれば、現場監督が実際に現場の仕事を自ら行うことは「禁忌」となってきます。現場監督にはもうそんな「余裕」なんてどこにも無くなってしまったのです。
2,現実を無視した計画と手戻り
となると、どういうことが起こるでしょうか。
そう、計画に「現実味」が失われてくるようになったのです。足場計画を例にしましょう
1,ジグザク足場を図面で書いておいて、工程や単価を同じ日数、平米単価として計画
2,足場を組む場所をきちんと整地させず、上部躯体仕上げの離隔も指示せずにに鳶に渡す。
3,昇降路や梁枠、躯体渡りの位置が適当で組む際にものすごく手間が掛かる
のような事をして、職人さんから怒られてもしれっとしているような監督が増えたのです。
足場の計画は押さえるべき「ポイント」があり、どこから建地を追い出すか、基準床高さをどこで設定するかで大きく組み方が替わります。当然枠組み、くさび型で押さえるポイントも変わり、それ次第で大きく効率も変わってきますが、組み方を知っているかどうかでそこに気づけるようになるのです。
しかし、そのノウハウは明文化されていません。皆年配の社員は経験則で指示し、計画をまとめているので、それを若手が感じることはできず、結局「指示された通りに」現場を納めることが至上命題となり、せっかくの教育の機会は失われてしまいます。
3,ノウハウを教える難しさ
では、どうすれば作業の勘所を若手に教えられるのでしょうか。昔のような「テキストに残す」という手法は確実ですが「時間」を大きく使ってしまいます。一番は作業員が実際に作業している様子を見ながら、そのノウハウを一つ一つ横について解説すること。
なんですが、それ、できますか?やってますか?
そう、上司も部下も「同じ時間に同じ場所でいる」時間を確保する事さえ今は難しくなっていますよね。せいぜい、場内のパトロールの時間が、その時間であるくらいです。
だから僕は「教育」にこそ先進技術を使うべきだと考えます。その軸は4つです。
1,BIM
2,ドローン
3,メタバース
4,AI
今社内で色々議論しているので詳しくは話せませんが、現在使っている
・SNSを利用した報連相スピードアップ
・打ち合わせアプリによる最新情報の共有および更新
などはもう「当たり前」として、この4つの道具をいかに使っていくかで、いままで実地に経験してきて身につけてきたノウハウを、現場の体験と並行して実施していけば、「時間」を創出しながら中身の濃い教育活動と経験の取得が可能だと思います。
4,しかし大きな問題点が-教える側の問題
そして、そこに大きく立ち塞がるのは「教える側」の問題です。僕ら世代は数々のノウハウと実績を頭の中に持っています。
さて、そのノウハウを、どうやって引き出していくか。僕らの世代は最新機器に詳しい層とそうでない層に大きく分かれます。この詳しくない層をいかにして上記の4つの新しい機器と親和させていくか。そう、これは若手の問題であると同時に、年配層の問題でもあるのです。
想像するとわくわくしかないですが、実施は非常に難しい。でもやるしか無い。
そう思っています。
現場や会社の枠を超えて、この分野で役に立てるようになればいいなあ。まだ具体策は胸の内ですが、いつか実現していきたいですね。