安全パトロールをしたことがありますか?受けたことがありますか?
「安全パトロールがただの指摘合戦になっている…」
「現場の準備負担が大きすぎて申し訳ない…」
こう悩んでいる安全担当者の方も多いのではないでしょうか? 本記事では、僕が2年間で実践し、実際に事故を減らしつつ、チェックリストを半分にまで削減した
「現場に喜ばれるパトロール」の具体的な手法を4つ紹介します。
1: 事前説明は「現場外」で済ませ当日は議論から始める
安全パトロールっていつも【前口上が長い】と思いませんか?現場に着いてから現場員に「今現場はこういう状況です」と説明させ、それから現場に行く。これだけで30分以上。しかも説明するだけで質疑の時間はほとんどない。これでは中身の濃い現場巡回は出来ないですよね。なので
現場に着く前に、現場情報は巡回員に詳細に説明しておく
ようにするのです。僕の会社ではbuildeeを用いて現場にいなくてもWEBから当日の作業内容と現場配置図を確認することができました。であれば予習しておけばいい。
buildeeと補足で現場から送って貰った工程表など使い回しのPDFを使って、現場に行く人全員に前日、もしくは当日現場に着くまで(行く途中の車内)で説明してしまうのです。
これで、事前に全員現場状況は頭に入っていますから、現場に着いたら説明時間を省いて、
「現在のこの工程やけど、ちょっと詰め過ぎてると思うけど」とか
「今日の計画のクレーンはこうなってるけど、吊荷の下に入っちゃうんじゃないの?」
などと、質問から始まるようになりました。つまり説明時間分、丸々現場は得するようになったのです。
2: 紙・転記資料の全廃(現場準備時間をゼロにする)
安全パトロールの準備って、現場にとって大変ですよね。配付資料の準備、会議室の準備、巡回員に対する案内、弁当の手配、現場によってはおしぼりや水分補給まで配慮してくれるところもあります。本当にやることが沢山で少ない人数の現場などでは、大きなストレスがかかります。なので、
紙配付資料は準備しなくて良い
ようにしました。先ほどのbuildeeと事前送付の資料を、巡回員に説明するときに配っておく。僕らパトローラーは時間の余裕がありますし、全く苦ではありません。それどころか資料をまとめながら現場の事を事前に知ることができ、巡回経路などポイントを事前に絞れます。現場にとっては配付資料・準備資料がなくなり楽になります。そしてさらに
パトロール専用のまとめ用紙の廃止
を行いました。今日の日付とか、無災害労働時間とか、現場のスローガンとか、主要作業とか「転記ばかり」の資料を全部やめました。そういうのはパトロール者が社内共有資料やbuildeeを見ればわかることです。生産性の悪い書類は一つでもなくす。この姿勢が大切ですね。
3: 勇気ある「チェックリスト50%削減」の断行
現場巡回チェックリスト。あなたの会社にもありますか?そして上手く機能していますか?
組織により様々ですが、僕が担当になった時そのチェックリストは膨大そのものでした。勿論、一つ一つは大切なことが書いてあるんです。でも全体を俯瞰した時に、疑問がふつふつとわいてきました(正確には現場所長の時から思っていました)例えば、
●これ、別に安全パトロールのチェックじゃなくても良くね?
●このリストと、このリストのこれ、同じこと言ってんじゃね?
●このルール、もう形骸化してるんじゃね?
●この項目、最初の会議で確認して終わってるんじゃね?
●こんな項目、わざわざチェックリストにまで挙げなくても良くね?
ってな具合です。本当に多かったんですよ。そして、削って、削って、削って。。。
結果、チェック項目は、なんと、
・・・・・・・・・・半分になっちゃいました。
いや、本当そういうもんなんです。事故やトラブルが起こるとどうしても「ルールを上書き」するのではなく、足しちゃうんですね。だから無限にチェックリストが増殖していく。作ってしまうと、それを削るのは(前任者に)遠慮して出来ない。となってしまう。
だから勇気を持って「止めましょう」を言うことが大切。組織にとってハードルではありますが、超えられないハードルではありません。多くの人が今のルールに疑問を持ち、「削ろう」「削れるんだ」という意識を持ってほしいですね。
4: 迅速かつ解りやすい伝達ルール作り
パトロールが終わった後、あとで巡回員から何十項目の指摘事項が上がってきたら、そしてそこに「あの時、回った時にすぐに直したのに。。」と思ったことありませんか?そしてそれをわざわざ写真を撮りに行って、コメント書いて、アップロード。。。うんざり。。
そういうの、止めました。
勿論、日常のルーチンの中で「繰り返し起こりそう」な要素があれば別ですが、単に隙間が空いてたとか、物を置き忘れているとかの軽微な物を指摘にしてしまうと、報告だけで現場は疲弊してしまいます。だから指摘事項の方針はこのようにしました。
1,現場がその場で修正した指摘事項は項目に挙げない(再発しそうなものを除く)
2,重点的なものだけを挙げ、枝葉末節の事項は一つの項目にまとめる
3,複数の人から上がった同じ指摘事項は、全部が上がった時点で責任者がまとめる
4,修正報告の質を過剰に求めない(てにおは、写真の綺麗さ、映り込みなど)
パトロールの目的は現場の不安全や意識不足を指摘して、できるだけ早く修正させるものであり、「パトロール報告書」という手段を美しくつくる為ではありません。まずは現場の立場に立って迅速に処理出来るよう伝達し、写真の角度が悪いとか、よく見えないとか。枝葉末節の事項は別にメールでテキストにして伝えるとかすればいいのです。伝達内容は簡潔にわかりやすく、項目を絞って。ちょっと一手間で現場の手間は激減するのです。
パトロールの目的は不備の指摘ではなく発見のサポート
いかがでしたでしょうか。僕がパトロールを実施していた期間は二年と少しですが、結果として言えるのは「現場と交わす議論の中身が深いものになった」ということです。
法違反を指摘するだけのパトロールなら、労働基準監督署に任せておけばいい。社内で行うパトロールは、現場に隠れた未来のリスクを現場の人とともに読み取り、アドバイスを指摘という形で具体的なやり方に昇華する。それが本当の安全パトロールだと思います。
また、言いっぱなしではなく「なんでこんなややこしいことになってるんですか?」「ここに困ってるので上手い解決法ないですか?」という疑問には丹念に根拠を調べて適切な回答を導き、具体化するのも巡回者の仕事です。それを怠り、問題を現場に投げ返すパトロール担当者のなんとも多い事か。そういう無責任だけはしたくなかったんですね。
後日談、ルール変更の後、若手の子が「こうじや所長がやり方を変えてくれて、パトロールの中身が凄く濃くなったと思います」と言ってくれたことが、何よりも嬉しかったです。
現場に与えられた時間は有限です。パトロールの改善も立派な働き方改革。しっかりと機能した安全パトロールは、現場の「気づき」を呼び起こし、未然に事故が防げる。そう強く思います。この記事が多くの現場の役に立つことを願っています。