現場に社員が配属されて、一番最初に当たる壁はきっとこれ、「職長さんといかにコミュニケーションをとるか」かと思います。何せあなたは入ったばっかりで、ほとんど何も知らない。でも職長さんは「監督さん○○はどうなってるの?」と聞いてくる。戸惑いますよね。
そんなとき、新人のあなたが心がけておくことを、いくつか挙げていこうと思います。
1,基本は常に誠実に答えを返す
まず、職人さんはその多くがサラリーマンではなく、「結果で収入が決まる人」です。「社員」の職人さんも、会社の成績が自分の給料に直結することをよく知っています。だから自分の段取りが狂うこと、待たされること、仕事のやり直しを嫌います。
でも、新入社員のあなたは、満足に対応できませんよね。何から答えていいかさえ、解らないはずです。ただ、この心がけはできます。「誠実に答えよう」要するに、質問の内容をよく聞き、真正面から向き合う。真摯な態度を取れば、職長さんもそのように対応してくれます。要は社会人として誠実に接することが、はじめの第一歩なのです。
2,わからない事に虚勢を張らない
新入社員がベテランの職長さんに知識で勝てることなどほとんどありません。最初は何も解らなくて当たり前です。図面を渡しても、指示書を渡しても、「じゃあここはどうなってんの?」「ん?この指示手順書や請負と違うけどいいの?」と返ってきたらもうそれだけでパニック。「いいから図面通りやって下さい」とか言おう物なら「なんじゃそれ!」って怒られるのがオチです。
こういう時の対応は「メモを取りながら、相手の質問を理解し、それをしっかり調べて返す。」ことです。わからない点をごまかしたり、知ったかぶりをするとすぐばれます。そして果ては「あいつに聞いてもダメだ」と何も聞かれなくなり、上司に直接問い合わせられるようになってしまいます。
最初はメッセンジャーボーイでいい。それをきっかけにしっかりと情報を把握し伝達し続ければ、自分もそれぞれの仕事の流れが解り、信頼関係を築くことができます。中間管理職であることを奢らず、真摯に対応をすること。これが最初に心がけることですね。
3,安請け合いしない
では、疑問点や頼まれごとは全部受けるべきなんでしょうか。それは違います。解らないなりにも「これは僕の力じゃ無理だなあ」と思うことは「すみません。ぼくじゃそれは答えられません。それに今日は昼から研修に出るので調べる時間が無いです。○○さんに伝えておくので会ったときに直接聞いてもらえませんか。」と答えるべきです。
それを「わかりました!」って安請け合いすると夕方になって「あれどうなってんの?わかったの?」と怒られる事になります。残念ながら職長さんで余裕を持って質問してくれる人は少ないです。連発しないように気をつける必要はありますが、約束できない安易な「わかりました!」はいけません。無理なときはきちんと断る。解決を先延ばしにしないように気をつけることです。
4,下請の請負範囲をよく理解する
上司から、「○○くん。君は工種は鉄筋工を担当してもらう。頑張ってくれよ!」と頼まれたら、まず何をしますか?答えは「請負の発注書と条件書を見せて(教えて)下さい」です。同じ地区、県であっても、請負の範囲は所長の考え方によって微妙に違います。彼らの仕事は何処までする物なのか、まず担当者が理解していないと話になりません。設計としてのその工種のスペックは、「設計図(の特記仕様書)」「施工要領書」と「見積書」「発注条件書」この4つがあれば、ほぼすべて理解できるはずです。なかでも発注条件書は、具体的にどの作業までが請負の範囲かが詳しく記述されています。作成をきちんと行わない所長さんもいると聞きますが、そうでなければそれを見るのが一番の早道です。現場の基本が理解できてきた初級の管理者なら、まずはしっかりそのあたりを施工開始前に把握しておくことが大切ですね。
5,情報伝達はできるだけ見える化
安全のための指示書などは、元々紙で渡すように定型化されていますが、例えば図面変更や段取り変更の指示などは、ついつい口頭でやってしまいがちです。でもそれは間違いや不信の元、面倒でも必ず図面の赤書きやスケッチ、テキスト・メモにして渡しましょう。最近はipad等で3Dで説明することもできるようになりました。なるべくビジュアルに、わかりやすく伝えること。口頭で伝える方法は、上手くいっても70%しか伝わらないと考えて下さい。スケッチを描くことは、自分の頭の中の整理が出来る点でも優れています。積極的に紙に書いて渡す習慣をつけるようにしましょう。
いかがでしょうか。新入社員になっていきなり中間管理職。気負う気持ちは解りますが、入ったばかりの貴方には、いきなりベテラン社員のような仕事は出来ません。上司もそのつもり(失敗込み)で仕事を与えています。ミスを恐れず、一つ一つを確実に終わらしていく。それを続けることで、本当に現場が解った良い監督さんになるのです。