前回は、机上の道具を紹介しましたが、今度は現場で使う道具を紹介しましょう。
ご存じの方も多いでしょう。「杭ナビ」です
知らない方は、まずこのリンクを見て下さい。
R1T1305W_akt_kani_tori1.pdf (aktio.co.jp)
杭打設箇所の位置出しは、現場の重要な業務です。これが大きく狂うと大変な時間とコストのロスになりますし、小規模でも10センチ以上ずれれば偏心杭という扱いになり、フーチングを大きくしたり、梁筋を増し筋したりの対処が必要になってしまいます。
しかし、くい打ち機は鈍重で、折角出していた杭芯位置の鉄筋をずらしてしまったり、何処にいったか解らなくなったりと、何度も出し直しを余儀なくされる場面が今も多いです。
そこで、この機械です。
これ一台で、今までトランシットを振り、スチールテープで追い、杭屋さんを待たせながら行っていた杭芯出しが、1/3以下の時間で正確に出すことが可能となりました。
勿論、人間の据える機械ですので、妄信して一発で出すことはリスクがありますが、出した後で確認計測をするなどを併用すれば、劇的にスピードアップを図ることが出来ます。開発された初期から使っていますが、本当に便利です。何より、「2人で出す必要のあった杭芯だしが、一人で出来るようになった」これがものすごく大きな価値があるのです。
そして、実はこの機械、杭だけじゃなくいろんな場面で使えるのです。
障害物や高低差のある敷地(既存建物など)での位置出しや、仮設の区画の位置決め、道路を挟んでの測量など、応用する場面はたくさんあります。
ある現場の杭工事の支持層未到達と、それによる建物立て直し事件は、杭工事の管理を厳格にさせ、かつて杭工事中は「計画の検討」に格好の時間であったものが、非常に現場監督の「手間」を食う工程に変わりました。だからこそ、今までかかっていた「手間」を削減しなければいけません。杭芯の出し直しは突発的に発生するため、測量工を現場常駐させるわけに行かず、常に現場監督の悩みの種でした。しかしこれを一つ常備しておくだけで、一人で位置出しができるようになり、監督が2人いれば、一人は計画に専念できるようになりました。
こういう、「機械にできる事は機械にさせる」事が、現場の計画を充実させ、また別の機械を導入する時間を生むのです。
杭工事という、現場に最初に入ってくる工種だからこそ、コストはかかっても絶対に譲れない「時間」だと思います。これからもアンテナを高くして、新製品を積極的に使っていきたいですね。