現場あれこれ

型枠省力化=お金で時間を買う

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

新年早々持病が再発して、しばらく記事を考える余裕がありませんでした。twitterで元気をもらって、やっと記事に向かう気力ができました。

以前の記事で、様々な工期短縮方法を書きましたが

2,PC・プレハブ化による工期短縮|現場のこうじやさんのブログ (koujiya-31.com)

上記の工期短縮方法の内、僕が一番よく使うのは

1,断熱型枠の採用

2,在来型枠をフェローデッキに変更

3,床板、小梁のPCa化

この3つ。難易度が低い順に並べてみました。一つ一つ解説しますね。

1,断熱型枠の採用

これは一番簡単。単に「木製在来型枠を、断熱型枠に変える」だけです。性能を設計事務所に提示し、材料を発注し、型枠大工の会社に方針を伝え、型枠支給として値決めを行う。これだけで可能です。

勿論、こつは要ります。まずは壁型枠に使う場合ですが、これは「内部発泡ウレタン吹付の代替品」として機能するのですが、

ことです。具体的に言うと「平壁」だけに使うのが良いですね。これは断熱型枠の建具加工が難しく、また建具を取り付けする際に「溶接」によって焼けてしまうリスクがあるからです。

平壁だけを変えるだけでも、現場から搬出する材料はぐっと減るので、産廃も、揚重費も減ります。単純な価格比較ではコストアップですが、実際には工期が縮むので、経費を含めたらプラスになることが多いです。

2,在来型枠をフェローデッキに変更

ここからは設計図の計画変更が必要になるものなので、設計者の協力が必須です。フェローデッキとは鉄筋の組み込まれたデッキで、型枠+下筋を兼ねるものになります。合成スラブに比べて合成が大きく、広いスパンでも適用が可能です。

これも先ほどと同じく、単純コストでは在来+鉄筋組よりもコストアップにはなりますが、「スラブ型枠解体」という建築工事の中で最もリスクの高い作業をほぼゼロにできる大きなメリットがあり、また「スラブ型枠の転用」も必要なくなるため、サイクル工程を縮める事ができるため、全体工期の短縮に大きな効果があります。従ってかかったコストは十分ペイできると考えています。

デメリットはフェローデッキの上が歩きにくいので、鉄筋工事の梁などの歩掛かりが下がること、スリーブが抜きにくいことなどがあります。よってPSだけはフラットデッキ+在来鉄筋にするなどの工夫が必要ですね。

同じデッキ工法でもキーストンプレートや合成スラブ、フラットデッキと違って、下端がフラットなのでLGS間仕切りなどで断熱+防音などがしやすいので、仕上げにもメリットが大きいです。

これからの時代の躯体工事は少しでも現場に入る人員を減らすべき、という考えにもマッチしていますね。

3,床板、小梁のPCa化

最も難しく、コストのかかる変更がこのPCa化です。

これにはこつが要ります。例えばこんなケース。

1,バルコニーだけPC化して、外部足場+安全設備を簡略化する。

2,吹き抜け上の梁をPC化して、型枠支保工を簡略化する

3,鉄骨造で「そこだけ」RC支保工が必要な部位の支保工を省略する

1,については、外部側のバルコニーの支保工は型枠を外で組ばらしする必要上、しっかりとした作業床を確保する必要がありますが、搬入するバルコニーが先に仕上がっていれば、単なる養生足場だけでも十分となります。これによって足場がシンプルになれば、コストをガクッと落とすことができるます。安全上もメリットが大きく、おすすめしたいですね。

2,は大きな吹き抜けだと、型枠支保工にするにはかなり大型の足場と支保工が必要ですが、PC化すれば、組み立て支柱だけにすることも可能。大きく仮設を落とすことができます。梁のかけ方などを考慮して位置を工夫すれば、驚くほど綺麗でシンプルな足場になります。現場技術者の腕の見せどころですね。

3,については、ALC等の外壁の時、最上階のスラブ+壁だけがコンクリート+塗装担っている時があります。こういう建物はその階の支保工が大きく工程上のネックとなるのですが、その部分だけをPCa化すれば、支保工なしでそのまま継続することができるため、4週間支保工を置いておく必要がありません。この他一部の跳ね出しスラブなど、「そこだけ」型枠支保工の必要な場所をPCとすることは、工程上の大きなメリットになるのです。

プレファブ施工を恐れるな。

いかがでしたか?今日の記事では代表的な「工期短縮」につながるプレファブ施工の例を紹介しました。建物によってケースバイケースですが、大切なのは

1,コストアップを恐れない。

2,設計変更のためのチャレンジ(設計・施主説明)を恐れない。

事が必要だと思います。次世代の現場を作るために必要なこと。それは恐れず目的のために進むことです。今後の現場監督さんの参考なるとうれしいですね。